神のいない月がやってきて
またしても猫たちは海を見ている。
石造りの建物からは
海を見るしかすることがないのだ。
光と
それから影に分かれて
対話するのが季節というものだろう。
何を求められているのか
絶対に考えてはいけません。
その人は占いではなく
しかしきっぱりとそう言った。
ただ意味が通じているかどうか
それだけを考えるのです
それが一番大切なことなのです。
そう言った。
長く会社勤めをしていると
求められるものを取り出すことを
考える癖が付いている。
しかし求められるものを取り出しても
何かを越えてゆくことはできない。
ただ昨日と変わらぬ今が
取り出せるだけなのだ。
そんなことをたぶん私は知っていたのだが、
音声にしてそれを聞きたかったのだろう。