警報

雨は、
突然降り出すのではない。
ずいぶん前から準備をしている。
空の向こう側に
もくもくと立ち上がる積乱雲を
君は見ただろうか。
それはやがて地表に落下して
私の足を濡らすことになる。
未来は
ある程度予測できることであるが
なぜか自分には
あまり真実味を持って語りかけない。
どんなに世界が発達しようとも
私は単に骨であり肉なのである。
基本的なことを
時々忘れてしまうのだが、
そうよそんなの当たり前じゃない
またしてもそう言われるだろう。
いつまでも私は
現実というものを見たくなかったのだ。
そうよそんなの当たり前じゃない。
私の中の私が
そう言っていたのだ。

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