かたち

君は
猫のかたちをしてそこにおり、
猫のように動いている。
私は
人のかたちをしてここにおり、
人のように動いている。
それはほんの
わずかな違いである。
両足をそろえて
打ち込まれた杭の上に君は座っており、
何か言いたげな顔で
こちらを見ている。
見渡す限りの曇り空は
もうすぐ雨になるだろう。
雨が降り出せば君は
もうそこには居ないだろう。
どこかもっと居心地の良いところに移動して
風の音を聴いているだろう。
わたしとて同じ。
同じ球の上に乗って、
暗い宇宙をどこまでゆくのだから。
夜は
単に方向の問題なのだ。
誰もが分かりきった顔をして
分かりきったことを口にしなくなるから、
わたしは言葉を掘り起こしたくなる。
意味など思いつかないのだが。

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