月別アーカイブ: 2015年3月

単なる電気信号

この頃はネットの中にも桜が咲いており、 私はネットの中で花見をする。 散らない桜はないのであるが、 ネットの中の桜はいつまでも咲いている。 いつまでも色あせないということは とても素晴らしいことであるが、 ある程度の気味 … 続きを読む

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ひとつだけ

春ですか、そう訊くと そうじゃないの、と誰かが答える。 季節の区切りは明確ではなくて ぼんやりしたものである。 わたしは明解さを学んできたが 世の中というのは本来 不明確なことでできているようだ。 ある日、 ある公園の … 続きを読む

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かたち

君は 猫のかたちをしてそこにおり、 猫のように動いている。 私は 人のかたちをしてここにおり、 人のように動いている。 それはほんの わずかな違いである。 両足をそろえて 打ち込まれた杭の上に君は座っており、 何か言いた … 続きを読む

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バランス

地上九階の世界は いつだって渦巻いている。 窓の隙間から音が忍び込んでくる。 それは水底と同じ。 地表と空の間にあって 水が行き来するのを知らぬ顔で見ている。 ちょうどバランスがとれているから、 水はお互いを巡るのだろう … 続きを読む

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寒桜

寒桜が咲いていました。 染井吉野ばかりが桜ではないと わたしは思います。 雨は上がったばかりで、 空はどんよりと重い顔をしていました。 花びらは濡れないと開かないのだと 誰かが言っているのを聞いたことあります。 低いコン … 続きを読む

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こころ

雨は季節の緞帳である。 それは降りたり上がったりして、 その間に舞台は転換している。 雨が多くなってくると あぁまた変わるのだと思う。 角度の付いた期待を 将棋の駒のように差す。 不安な未来を冷たい氷のように持っていて、 … 続きを読む

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