如月

太陽が東京を暖め始めた時、
私はテレビの中の猫を見ていた。
それから二月になっていることに気付いて、
カレンダーをめくった。
如月。
一月はいぬる、二月は逃げる、三月は去る、と言う。
帰る場所や逃げる場所があるのならば、
追いかけることもできるだろうけれど、
きっとそんな場所はない。
夕陽の中で、猫はのびている。
それから影になっている。
「存在」とはなんだろうな、と
答えがないことを今さら考えてみたりして
まともであるようなふりをしてみる。
しかし、それはひとつの祈りである。
正しくは祈りのようなものである。
季節風は相変わらず洗濯物を揺らして、
私に空を見上げさせる。

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