月別アーカイブ: 2015年1月

光について

ハケで塗りたくったような朝のこと、 そこらじゅうに光が溢れて、 バス停に向かう私の足取りは バネを仕込んでいる。 出がけに急いで珈琲を入れて 水筒に詰めたのだが、 それをテーブルの上に置いたまま 部屋を出てきてしまった。 … 続きを読む

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ほんとうの切り取り方

大寒を過ぎてから風の強い日が続いた。 風速が1メートル強くなる度に 体感温度は1度下がるのだそうだ。 体感温度というのは本当の温度ではない。 しかし、人にとっては本当の温度である。 「ほんとう」は都合によってねじ曲げられ … 続きを読む

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電波

「いつも電波を出すようなものを持ち歩きたくないの」  西山さんはそう言った。 「でも、そこら中の人がそういうものを持っているから  自分で持たなくても、すでに電波に囲まれているじゃないですか」 「分かっているの、分かって … 続きを読む

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ことしのゆくえ

私は「暇」だと思ったことがない。 「暇」とは何かよく分からない。 それは、個々の断片が「関連」の線から 外れていると意識することではないだろうか。 私は必ずしも、物事が明らかな関連の連なりであることを 求めてはいないよう … 続きを読む

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冬の一日

気が済むまで眠ってみると 昼はとっくに過ぎている。 遮光カーテンというもののせいだと思う。 光を遮ることによって 眠りはどこまでも広げられる。 光はいきなり失われることはない。 夕方というものがある。 それは失うための儀 … 続きを読む

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ごうごうと風が 窓に吹き付けるのを聴いていた。 冷たい夜だった。 密閉されたマンションの部屋には 空気を取り入れる穴が空いている。 部屋の隅のその穴から 冷たい空気が入り込んでくるのが分かった。 それが部屋の中を一回りし … 続きを読む

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ローム

年末からイタリアに行っていた。 私にとっての正月の形 すなわち何かとの関わり合いというのは 十分に損なわれつつあるので、 どのような場所にいても構わないと この頃は思っている。 しかし、ローマに着いてしばらくしてから 高 … 続きを読む

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