晩秋

公園を歩くと
いつの間にか秋は進んでいる。
池の上を渡ってゆく
大勢の人々。
どこかに行って
日常とは異なる何かを見ている。
色々な毎日のできごとは
桜の葉のように
はらはらと舞って
地表に到達する。
そしていつか大地になって
見えなくなってしまうだろう。
繰り返すこと
いつも同じ場所で間違える
ピアノの演奏。
学習では補えないことがあって
それが個というものだろう。
夏の日に雷雨の中を歩いたことを
冬になると忘れてしまうけれど、
また夏が来て雷が鳴ると
そのことを思い出すだろう。
人は同じような状況に出会って
初めて過去の出来事を蘇らせることができる。
そしていつも同じことをする。
クレーンの影がいくつも空に伸びている。
あの場所に大きなマンションが出来るのだ。
そうして向こう側は見えなくなる。
そのことを私はとても残念に思うが、
きっと馴れるだろう。

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