枇杷

供物のように
ベッドにそっと自分の体をのせて
目を閉じると
すぐに永遠はやってくる。
枇杷の実のことを思い出す。
交通量の多い都心の道を歩いていた。
前方からやってくる自転車を避けた時に
ふと見上げた空に
枇杷はあった。
やさしい色の実がたわわになっていた。
なぜこんなところに枇杷が植えてあるのだろう
街路樹?
だれも枇杷の実を取る人はいないのだろう
その耳のような色の実は
静かに風に揺れていた。

心が揺れるとき
自分の物事に対する執着というものを知る。
それは見えるものだったり
見えない物だったりするけれど、
確かにそれにこだわっている。
そういうこだわりは無くてもよいものなのだ。
植物のように関係性というのは
そこにあればよく、
引き寄せたり、遠ざけたりしなくてもよい。
自然に生きてゆけばよい。
そう思う。

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