春まちうた

風が強い日が続く。
まだ枝ばかりの櫻の木の間を通り抜けて
見えない彼らは
色々なものを揺らす。
舞い上がる心をおさえながら、
私は静かに春を待つ人になる。
もうずいぶん沢山の春を見てきたけれど、
ここ数年は
うすく塗り広げられた絶望のようなものが
つねに奥にあることが分かって、
どんなものも歪んで見えるので、
どうしたものかと思っている。
多分そのようなことこそ
当たり前だと思うべきなのかもしれない。

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