恵方巻きというのはあれは
そんなに昔からあったものだっただろうか。
太巻きにかぶりつくなんて
何て品の無い食べ物なのだろう
別に切って食べればいいじゃない
と私の中の何かが言うものだから
私はそれにまったく興味が無いのだが、
テレビをつけても
ラジヲをつけても
どこかで恵方巻きを話題にしていて、
本当にみんなあれを
歳徳神の在する方位とやらに向かって
棒みたいに口に突っ込んでいるのだろうか
と考えると
なんだかひどく滑稽なことに思えて
節分というものから
なるべく距離をとりたいような
気がする。
話題、というものは
いつだって取り上げたい人のもので、
世の中にあることを
平等かつ世の中にあるような
濃度で伝えるわけではないのだな
ということがこの十年くらいで
とてもよく分かった。
そしてそういうことが
わかった人が結構たくさんいて、
それを困ったことだと
思っている人もまたいることが
あからさまに見えるようになって、
世の中というのは
ひたすら面倒臭いものだなと
私は思う。