月別アーカイブ: 2014年1月

きゃっちぼーる

私はキャッチボールが嫌いな子供だった。 父親という生き物は 子供とキャッチボールをしたい あるいはしなければならない と思うものなのだろうか。 グラブがふたつ用意されて それをはめて庭に出ろと時々彼は言った。 おもしろい … 続きを読む

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口角機動隊

ここのところ、言ってみれば するりとした日々を過ごしている。 何かとても大切な、やらなければならない事が あったような気がするのだけれど、 どうにも眠くて思い出せず、 塩分の濃い水の上を ゆっくりと平泳ぎで泳いでゆくよう … 続きを読む

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果てしなく短くそして長いもの

焼却炉の煙は南にたなびいている。 雲が広がってしまって、 もう月はなかったけれど、 街の灯りは それをぼんやりと見せる。 点滅する赤いライトが まるで鼓動のようだと思う。 どこまでも冷たい季節、 私には私の温度があるとい … 続きを読む

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霧の中

ミラノは霧の中だった。 川があるところには霧がある。 川から生まれた霧は光を遮って 見える物を朧にする。 それはとても静かに訪れ 人々を孤独にする。 私は霧の町で育った。 朝、堤防の道を車で走る時も フォグランプの黄色い … 続きを読む

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ヴェニス

ヴェネツィアの構成要素は 水と壁と光だと思う。 壁は古びてくすみ、 崩れ落ちているものもある。 水は光をきらきらと反射し 壁はそれをしっとりと受け止める。 それを橋の上から私は見ている。 その景色のリアリティは 少しだけ … 続きを読む

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くれもな

年末からクレモナとヴェネツィアに行っていた。 クレモナにはいつかどうしても 行っておかなければならないと思っていた。 しかし、「いつか」なんて 来ないのだということに私は ずいぶん前から気付いていて それで、いつかを今に … 続きを読む

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