夜、爪を切ると不幸になるという。
そういう歌が昔あった。
夕べ、深爪をした。
洗い物をする時に沁みる。
不幸はかなり身近なことなのだろう。
間に合わない夢をよく見る。
今朝もそんな夢を見た。
ふと日付や時間を見ると、
大事な用事が全て終わっている時刻になっている。
しまった、と思う時の気持ち。
もう取り返しが付かないことへの後悔。
どうやって取り繕おうかと
思案に暮れる現状。
目が覚めて、
なんだ、夢だったのかでは済まない。
それをもう体感してしまっている。
人々は廃墟に集う。
もうそこには何もない。
埃を被った様々な物が
時間の闇に沈んでいる。
「彼女の想いで」という映画を思い出す。
自分にとって大切なものが
そこに存在したのは、もう過去のことなのだ。
全ての物は永遠に損なわれる。
そして旅の支度をする。