明るい星もあれば
暗い星もあるだろう。
冷たい月の光に隠れて
見えないものもあるが、
確実にそれはあって
しかし、
どうしてもそこに行くことはできない。
ただ存在を感じるだけだ。
多くのことには手が届かない。
けれど、ほんとうは
わりと近い所にある。
街が賑わっているとは思えない。
人の波はどことなく暗く、
何かを祝ったり惜しんだりはしていない。
ただ酒を飲んで
タクシー待ちの行列に加わり
冷たさを受け入れている。
私は
忘れたいことなどないので、
忘年会は欠席します
などと冗談で言っているが、
実は半分くらいは本当である。
光に当たるとすぐに薄くなってゆく
インクのようなもので
私の多くは書かれている。
私が忘れなくても
忘れられてゆくのが存在というものだ。
ブラシで叩くスネアのビートのように
軽くてよいのだと思う。
距離を測ることをやめて
ただ感じればよい。
私は待たないし、
遠くにも近くにもならない。