逃げられない

どんなに遠くに逃げたところで
無駄なのだ。
どこまでだってそれは
ひたひたと付いてくる。
うまく逃げ切るということはない。
なぜなら
逃げている対象を
背負っているからである。
逃げたいと思うものを
リュックサックのように背負って
すたすたと逃げている。
それは実際とても滑稽に見える。
一心同体なのだ。
いつでも振り向けばそこにいる。
そんな間柄なのである。
小さい頃は知っていたが、
歳を取るとそんなことみんな忘れて
何もかもが
外にあると信じるようになる。
外にあるものを愛し、
外にあるものを憎み、
外にあるものを遠ざけようとする。
しかし、闘うべきものは
背中にくっついている。
もういい加減にそのことに
気付くべきだろう。

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