倫理を持て

薄い袋の中に
いくらかの温かい水と
いくらかの肉をつめて、
その中に心というものを
そっと浮かべている。
ただそれだけのものである。
切り裂くなかれ。
そして祈りは通じない。
ちょうど神は居ないのだ。
運が悪いといえば
それまでだが、
わたしは可哀想という言葉を
ここで使いたくはない。
そうして何も知らぬまま
言葉の向こう側に葬りたくはないのだ。
動機や機会はいたるところにあって、
しかしそれは
倫理によって抑制されねばならぬ。
罪とは意識の中に
あらかじめ備えておくべきもので、
犯してから償うものではない。
それはあなたの事であり
わたしの事でもある。
人は人の構成要素であるから
だれも犯してはならない。
夜、月はなく風は強い
そして闇に横たわっている。
ただただ横たわっている。

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