神無月のころ

十月の世界に神はいない。
ふたつの渦巻きが
南方より湿った空気を送り込むので、
困った顔をしている。
薄く開いた窓で
口笛を吹いてみる。
接地している部分は
ほんの僅かで
でもそれが
決別していることにはならなくて、
むしろ深く入り込んで
空を行く飛行機を
眺めているのである。

実を付けず、
実を付けるためのなにがしかの
行いもしない草というのは
生き物に喰われるために
余生を送っているのである。
食物になればそれで
全うしたと言ってもかまわない。
そのためには
苦みよりも
酸味よりも
甘みを蓄えるべきである。

音と音をつなげなさい。
言葉による指示は
そのことの全てを表してはいない。
たとえば手続きの方法を
ある一面を切り取ったにすぎない。
一般的なことは参考にしかならない。
耳を澄まして
自分のやりかたで答えを出せばよい。

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