月別アーカイブ: 2013年8月

八月は路上に棄てる

もう八月が終わるよ早いね などと川本は言うけれど、 私はちっとも早いと思わない。 私のひと月と、川本のひと月は、 はたして同じひと月なのだろうか。 私にはまだ八月が残っている。 もう八月など紐で縛って廃品回収に出したいく … 続きを読む

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地蔵

こんばんは。 私は町の外れに立っている地蔵です。 石でできています。 雨の日も晴れの日も、雪の日も ずっと同じ所に立って ぼんやりと世界を見ています。 時々、好きなひとができて 愛を伝えようとするのですが、 地蔵のなまめ … 続きを読む

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ゆらぐ

光が弱くなった。 わたしは目を上げて 燃えるフィラメントを見た。 たぶん電子レンジのせいだ。 客たちは何も気付かなかったように ただ笑って酒を飲んでいる。 夜の光について思う。 蝉が真っ直ぐ飛んでくる。 それはまるで落下 … 続きを読む

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雨に叫ぶ

ずっと昔、少しだけインドにいたことがある。 その時、こんな感じだった。 夕方になると空も土も赤いのだけれど、 遠くに稲妻の光がくっきりと見えて その黒い塊のような雲が どんどんこちらにやって来る。 やがて辺りは土砂降りの … 続きを読む

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遠い空

八月に入ったので、 白桃を取り寄せて食べた。 あの薄い皮を剝くとき 何か後戻りできない気持ちになる。 夏というのは 取り返しがつかない季節なのだろうか。 電車で隣の座席の男が スマートフォンを耳にあてた。 若い男だった。 … 続きを読む

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