月別アーカイブ: 2013年4月

過去を届ける

録音技師になりたかった。 そう思って都会に出て来た。 昔の話だ。 しかし、なぜ録音技師だったのだろう という問いはしてこなかった。 楽器はからっきし駄目だけれど、録音技師ならば いつも音楽のそばに居られる。 私はそう思っ … 続きを読む

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停滞

世界が冷たい空気で満たされていたり、 空が分厚い雲で覆われていて 気圧が下がっていたりすると こころというものも 花のように閉じるものだろうか。 わたしも、地球の一部なので、 総合的に考えると たぶんそれは不思議なことで … 続きを読む

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にちじょう

寒いような暑いような そうでもないような 何だかよく分からない気温で、 窓際の鹿島くんは 窓を開けたり閉めたりしている。 流入する空気は ひんやりしていて、 外が冷たいのか それとも中が暑すぎるから そう感じるのか分から … 続きを読む

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フォローミー

月は美しい三日月だった。 夜になってまた風が出て、 帰り道の自転車は 私を冷却した。 駅前のドラッグストアには 沢山の商品が並んでいるが、 欲しいと思う物とどれも微妙にずれていて、 何を買っても、買ったことによる 喜びと … 続きを読む

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穏やかな人の声を 聴いていたいと思う日曜日 風は止まず 僅かに開いた窓の唄を歌う。 するすると 時間は流れて またしても闇に溶けてしまう。 「抗生物質欲しい?」 白衣の男はそう言った。 「普通だったら処方しないけどね」 … 続きを読む

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かぜ

レタスにはカルシウムがありますから、 いらいらした時には炒めて沢山食べましょう。 211ページにそう書いてあった。 緑色の表紙の本を私は本棚から抜き出して 風の音を聴いていた。 春の嵐、というのは毎年のことで 過去に書い … 続きを読む

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はなのゆくえ

桜が花びらを離すところを見て もう用は済んだのだ ということを知る。 いつまでも、 美しく咲いている必要はないのだ。 それはまるで絶望のように 風に舞うが 命として次のステップに進んだのだ。 それはひとつの希望でもある。 … 続きを読む

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