配送を頼んでいた本棚が届いた。
それは組み立て式で、少し大きめだったので、
知り合いに頼んで、組み立てを手伝ってもらった。
二メートル×八十センチくらいの本棚を二個。
出来上がって、本を入れてみると、
本が命を持ったようだった。
それはまるで植物のような存在感を示していた。
木のそばに居るように、何故だか妙に落ち着く。
紙は、そもそも木なのだから
あたりまえといえば、あたりまえなのかもしれないが、
これほどまでに、私に働きかけてくるものだとは
思わなかった。
そうして私はお茶を飲みながら
背表紙をうっとりと眺めたりする。
何か語りかけてくる本があると手に取って
すこしめくって、また元に戻す。
そういういとしさというものを
自分の買った本に対して思うのは
ずいぶん久しぶりのような気がした。
かつて、本に頼り切っていた頃は
確かにそうだったが、いつの間にかそういう感覚を
忘れてしまった。
別に、紙なんて重いし、電子書籍でもいいんじゃないの
などと考えたりもしていた。
本は読む物としてだけあるのではなくて、
そこに存在していなければならない。
なぜなら、それが私の一部だからである。
そんなことも、忘れていた。
-
最近の投稿
最近のコメント
アーカイブ
- 2025年1月
- 2024年9月
- 2024年8月
- 2024年6月
- 2024年5月
- 2024年4月
- 2024年3月
- 2024年2月
- 2023年12月
- 2023年10月
- 2023年9月
- 2023年8月
- 2023年7月
- 2023年6月
- 2023年5月
- 2023年4月
- 2023年3月
- 2023年2月
- 2023年1月
- 2019年6月
- 2019年5月
- 2018年1月
- 2017年8月
- 2017年7月
- 2017年6月
- 2017年5月
- 2017年4月
- 2017年3月
- 2017年2月
- 2017年1月
- 2016年12月
- 2016年11月
- 2016年10月
- 2016年9月
- 2016年8月
- 2016年7月
- 2016年6月
- 2016年5月
- 2016年4月
- 2016年3月
- 2016年2月
- 2016年1月
- 2015年12月
- 2015年11月
- 2015年10月
- 2015年9月
- 2015年8月
- 2015年7月
- 2015年6月
- 2015年5月
- 2015年4月
- 2015年3月
- 2015年2月
- 2015年1月
- 2014年12月
- 2014年11月
- 2014年10月
- 2014年9月
- 2014年8月
- 2014年7月
- 2014年6月
- 2014年5月
- 2014年4月
- 2014年3月
- 2014年2月
- 2014年1月
- 2013年12月
- 2013年11月
- 2013年10月
- 2013年9月
- 2013年8月
- 2013年7月
- 2013年6月
- 2013年5月
- 2013年4月
- 2013年3月
- 2013年2月
- 2013年1月
- 2012年12月
- 2012年11月
- 2012年10月
- 2012年9月
- 2012年8月
- 2012年7月
- 2012年6月
- 2012年5月
- 2012年4月
- 2012年3月
- 2012年2月
- 2012年1月
- 2011年12月
- 2011年11月
- 2011年10月
- 2011年9月
- 2011年8月
- 2011年7月
- 2011年6月
- 2011年5月
- 2011年4月
- 2011年3月
- 2011年2月
- 2011年1月
- 2010年12月
- 2010年11月
- 2010年10月
- 2010年9月
カテゴリー