雨のあと、冷たくなった。
身につける洋服の、厚さが増した。
たとえ空に太陽の姿が見えても、
冷たい風が吹いて、日陰は寒かった。
左腕にインフルエンザの予防接種をした。
二日経っても、赤く腫れていて
押すと痛む。
そういう季節。
赤坂に歌を聴きに行った。
ハンバートハンバート。
もしかしたら、これは
人生最良のコンサートではないか
だって涙が溢れるのだもの。
そう思いながら声を聴いた。
嬉しいことと悲しいことを
混ぜ合わせた飲み物を、
一気に飲んだような気分だった。
お腹の底が、暖かくなった。
そう、いつだって声を聞きにゆく。
不思議なものだ。
いつだって文字に浸っていて、
電話なんてほとんど掛けないのに。
たぶん、いろいろ間違っているのだろう。
自分に対してあまり正直ではない。
時々そう思う。
文化は創る物で、
応じるのは風俗というものだろう。
全てが風俗化すると
世の中が平たく、つまらないものに
なってしまうような気がする。
でも、きっと大丈夫。
人々はもっと考えることができる。
お風呂のお湯を入れているうちに
眠ってしまって、
目が覚めると雲の蓋。
どこまでも平らな空を見た。
さて、支度しなくては。