月別アーカイブ: 2012年7月

夏について考察する

月曜日、自転車のタイヤに空気を入れると 夏は帰ってきて、遠い空から見ている。 ざわめきながら文を目指す 黄色い小学生の群れはどこかに消えて、 光だけが焼き尽くすのがアスファルトというもの。 代わりに土の中から蝉が出てくる … 続きを読む

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つゆのあと

梅雨、というものが終わったと言う。 雨の季節が過ぎ去ったのだ。 確かに天気図から、誕生会の飾り付けのような 前線の帯が取り除かれている。 それから世界を焼き尽くす陽射し。 エアコンはまるで生命維持装置のように働いて、 暑 … 続きを読む

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シンプルな好奇心

美しい、というのは 何も無いことだと思うようになったのは いつからだっただろうか。 もしも、遺伝子に記憶というものが 忍び込んでいるのならば ずっと前の世のことかもしれない。 しかし、何も無くすことなどできないから 常に … 続きを読む

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はなればなれ

「今日、飲みに行きませんか」  と、須藤くんは言った。  須藤くんは給湯室から出てきたところで、  白磁のティーポットを両手で持っていた。 「あれ、奥さんは?」  須藤くんは先月、結婚したばかりだ。 「ちょっと田舎に帰っ … 続きを読む

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惰眠

乾燥機の音を通奏低音のように聴きながら 眠りと覚醒の間を行ったり来たりしていた。 厚切りの雲が光を遮って、暗い土曜日 沈み込んだり浮かび上がったりするのはいつものこと。 気づくと日が暮れていて、乾燥機の音が止んでいる。 … 続きを読む

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口笛吹いて空き地に行った

四十年以上、口笛が吹けなかった。 というか、口笛を吹く必要がなかった。 口笛など吹いて何の役に立つのか だいたい人前で口笛を吹くことなんかないし コンサートでヒューとか口笛を吹いてるのって 別に格好良くなんかなくて、どち … 続きを読む

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書け

その時というのは どの時か分からないけれど、 必然性というのは 今そうしているということです。 今しか書けないこと、 今しか言えないことがあるはずで、 それは必然を持って書くことが できる言葉なのです。 そういうことをた … 続きを読む

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