法事

叔母がこの世から消えて
十三年が経ったので、法事がおこなわれた。
川越の寺は古い寺だけれど
手入れが行き届いていて
「古い」というのはなくて
「歴史がある」という感じだった。
手をかけることは
当たり前の感覚を変化させる。
読経の中で手を合わせていると
開いた扉から
一瞬強い風が忍び込んで肌を撫でた。
時間を超えているなと思った。
庭には蓮の植わった大きな鉢が
いくつも並べられていて、
「どの鉢も種類が違うんですよ」と住職は言った。
蓮の葉の上の水は丸く転がって
光を反射していた。
光の強い日だった。
あまりに光が強い世界では
少しだけくすんだ物が
まるで影のように見える。
今日はそんな日だった。

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