
みどりのことを
どのくらい知っているかというと
ほとんど何も知らないのだが、
雨上がりに木立の中を歩くと
みどりのことをとてもよく知っていて
まるで自分の原点だったような
そんな気がしてくる。
最初に好きになった色は、みどりだった。
春が来ると
一年草の種をたくさん蒔いた。
植物が好きだったというより
それは、みどりを見るためだったのではないか
今になって、そう思う。
土の中から、伸びてくるものは
みどり色になって、葉を広げ、光を集める。
小さな点のような、種であった時から
太陽のことを知っていたのだ。
そして水を注ぐのは僕である。
五月がどこにも行かないように。