徒歩

長い廊下が好きです。
どこまでも、どこまでも続く
長い、長い廊下が好きです。
出口なんかいらないんです
明るくも暗くもなくて
永遠に続く廊下が好きなんです。
無限回廊なんて言葉を聞くとうっとりします。
入り口も、出口もなくて
昇っているようで、下りていて
下りているようで、昇っている
始まりが終わりに
終わりが始まりに繋がっている
そんな廊下が好きです。
それは終わらない廊下です。
僕はそこを歩きます。
誰とも手を繋がないで
永遠に歩き続けるのです。
響くのは靴音。
決して走ったりしません。
靴音を聞きながら
ただひたすら歩くのです。
結局どこにも辿り着きません。
辿り着くことが目的ではないのです。
目的のために歩くわけではないのです。
ただ生きて居る間、
歩く必要があるのです。
魚と同じ
それが生きるということです。

カテゴリー: 諸行無常 パーマリンク