三田苦労す

「サンタクロースっていくつまで信じてた?」
 この時期、時々話題になるので、
 そう訊かれることがある。
 しかし、僕はうまく答えられない。
 考えても何もないのだ。
 信じるも、信じないも
 サンタクロースは、今まで一度も
 僕の側に現れたことはなかった。
 そういう気配さえも感じたことはない。
 クリスマスプレゼントというものを貰ったことは
 何度もあるけれど、それはいずれも
 送り主本人から手渡しされたもので、
 枕元にそっと置かれたりはしなかった。
 サンタクロースが、そうやって贈り物を持ってくる
 というのを、テレビや友達から聞いたことはあった。
 しかしそれは、まったく現実味の無い話しで、
 どこか遠い星で、そういうことが
 とりおこなわれているらしい
 というくらい疎遠なものだった。
 だから、僕にとってサンタクロースというのは
 カッパとか龍とか大蛇とかそのようなものと
 同様な距離をもって存在している。
 とても遠い所にあるものというのは
 信じたり、信じなかったりする対象ではなくて
 もっと、なんていうか淡いものだと思う。

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