ねがい

夜があってよかった
窓の灯りと、月を見上げてそう思う。
ずっと昔から、ひそやかな事が好きだった。
叫んだり、暴れたり、騒いだり
そういうことを面白いと思わない子供だった。
それは、今でもあまり変わっていないと思う。
オリオン座が昇っている。
頬に当たる風はそれほど冷たくはなく、
記憶の遡る道具が足りない。
希望の星という言葉があるけれど、
わたしにとっての希望の星はどこだろう。
ベランダで風に当たりながらそれを探していると、
視界の端を星が流れたような気がした。
願い事は忘れた。
一番に願うべき事は何だろうか。
いつか、違う星に行くロケットの
打ち上げを観てみたいと思う。
圧倒的な力で
地球の重力を振り切ろうとする
そういうものを観て、聞いたなら
心のどこかに小さな穴があいて
新しい次元に進むための道筋ができるだろうか。

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