道程

雨が通り過ぎるたびに
季節は変わってゆくけれど、
今年はのぼったり、おりたりして
はっきりと曲がり角を曲がらず、
まだ後ろ姿が見えたままだ。
ずっと、手を振って
手を振り疲れて、
だるくなって下ろしたころに
やっと見えなくなるのだろう。
ゆっくり進むことが
良いことだとも、悪いことだとも
思わないけれど、
人は一度きりの命しかないと
思っているのだから
ずっとせっかちに生きている。
さようならを言わないと、
新しい明日には出会えないのだから。

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