なにも持たないということ

世の中は「所有する」ということから
「権利をもつ」ということに
移り変わろうとしているようだ。
音楽も映像もどこか知らない国の
サーバーの中にあって、
回線を繫げ、権利を行使して参照する。
その方がスマートだから。
スマートというのは日本語で言うと
洗練されて粋なさまだそうだ。
しかし、自分はどうもそう思えない。
原始時代の草原で、どう猛な動物を相手に
狩りをしているように思える。
所有することは強いことだ。
神のみが所有するものを、
祈りを捧げて権利を手に入れ狩る
というようなこと。
人というのは、長い時間をかけて、
かたちのあるものを手元に置いて
コントロールできる状態にすることで、
安定して安心して暮らす事ができるように
なったのに。
今は逆に何もかも手元に置かない方向に
向かっている。
たとえばそれがとてもシンプルで
スマートで素晴らしいことだとしても、
どこかに神のような力を持った何かが
出来てしまうことになるだろう。

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