洗濯歌

そして洗濯機はやってくる。
人生はどこまで続くのかわからない。
崖の縁を歩いているのかもしれないし、
すでに斜面を滑り落ちているかもしれない。
そういう、ヤジロベエ的なのが
生きるということならば、せめて
よく洗ったシャツを着なければならない。
という、場末の酒場で酔っている
ろくでなしのような思考で
洗濯機を買うものかどうか分からないけれど、
とにかく日曜日にそれはやってきて、
洗面所の片隅に、以前からいたかのように
大きな顔をして座っているのである。
出会ったことは運命かもしれないけれど、
ずっと一緒に居るということは運命ではない。
それはどちらかというと、忍耐というものに近い。
共に戦えないものは、ただの知り合いである。
そしてさようならを言うべきなのだ。
大切なのは過去でも未来でもなくて
今なのだから。

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