青の夜

青かった。
月ではなくて
空が深い青色だった。
月は白く輝いていた
深くて美しい青の中で。

そういえば、小さい頃
月ばかり見ていた。
そのうちに望遠鏡が欲しくなり
親に望遠鏡をねだった。
「望遠鏡は駄目だ」
「どうして?」
「お前な、深夜徘徊という言葉を知っているか?」
「…」
「あんなモノを買うとな、夜な夜な外に出て
 ろくな事が無いぞ。非行の元になるんだ」
「…」
「非行の目はつんでおかなければならない。
 親にはそういう責任がある」
「…」
「それを保護責任というんだ、知ってるか?」
「…」
それきり、僕は望遠鏡のことを
親に言うこともなかったし、
買うこともなかった。
諦めたのではなくて、あまりにも呆れて
全てを考えることをやめたからだった。
今から考えると
それが一番ろくでもないことだった。

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