それはゆめですか

酒を飲んで夢を語る人を見ない。
見えないだけかもしれない。
いっそのこと、酒を一杯飲んだら
夢をひとつ語らなければならない
というルールにしたらどうだろう。
そんなのうざったいだけかもしれない。
父親は、酒を飲むと愚痴と噂話しかしなかった。
夜の食卓というものは、そうやって
黒いものが渦巻いていて
とても居心地が悪かったから
大急ぎでご飯を掻き込むと、部屋に籠もった。
そういうのを、トラウマと言うのだろうか。
通り道に邪魔なものがあったとしても
避けて通ればよいだけのことだけれど、
避けて通る所作そのものが
何かを蝕むことってあるような気がする。

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