月別アーカイブ: 2011年9月

洗濯歌

そして洗濯機はやってくる。 人生はどこまで続くのかわからない。 崖の縁を歩いているのかもしれないし、 すでに斜面を滑り落ちているかもしれない。 そういう、ヤジロベエ的なのが 生きるということならば、せめて よく洗ったシャ … 続きを読む

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音楽薬

エレベーターで近所の奥さんが 「いつもinoさんのお部屋の前を通ると  ピアノを弾いてらっしゃいますね。  そういうお仕事をされているのですか?」 と言った。 「あ、い、いえ、あの、しゅ、趣味です」 と僕は答えてから、間 … 続きを読む

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颱風雨

まるでバケツで水を掛けるように バシャバシャと雨が窓を洗って、 隣の家のテレビアンテナが 折れそうになるほどしなっていた。 台風というのはそういうものだった。 もう随分、そういうことを忘れていた。 河沿いの町で育った。 … 続きを読む

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遠い夜の声

風雨が強い。 くっきりとした渦巻きは ずっとそこにあって、 何時間経っても少ししか 動いているように見えない。 早く立ち去って欲しい客ほど 長居をするものだ。 小さなオーディオを買った。 ラジオとiPodだけの。 枕元に … 続きを読む

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無意識の意識

気付かないことはたくさんあるけれど、 それらを認識できるのは気付いた時だ。 マンションの入り口を入って、 エレベーターまで行く間にドアが一枚ある。 それは鉄のフレームに分厚いガラスが填っていて、 とても重いドアで、開ける … 続きを読む

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青の夜

青かった。 月ではなくて 空が深い青色だった。 月は白く輝いていた 深くて美しい青の中で。 そういえば、小さい頃 月ばかり見ていた。 そのうちに望遠鏡が欲しくなり 親に望遠鏡をねだった。 「望遠鏡は駄目だ」 「どうして? … 続きを読む

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タイムマシーンではありません

洗濯機に頭を突っ込んでみると やっぱりどうもカビ臭かった。 洗濯機の寿命というのは どのくらいだろう。 やっぱり年寄りになると 加齢臭というかそういう 臭いが漂ってきて、 どうしようもない感じになってしまって 寿命を全う … 続きを読む

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それはゆめですか

酒を飲んで夢を語る人を見ない。 見えないだけかもしれない。 いっそのこと、酒を一杯飲んだら 夢をひとつ語らなければならない というルールにしたらどうだろう。 そんなのうざったいだけかもしれない。 父親は、酒を飲むと愚痴と … 続きを読む

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雨の記憶

強い南風で、雨滴が飛ばされて窓に付着する。 雨量は少なかったけれど、気紛れな雨だった。 でも、通り過ぎて行ったら そんなことも、すぐに忘れてしまうだろう。

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颱風

当たり前のように九月がやってくると さらに空を見上げることが増える。 入り口がなければ、出口もないのが 季節というもので、しかし一年という期間を 体に刻むために十分な違いを持っている。 そして僕は、券売機から出てきた定期 … 続きを読む

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