逃避

窓を細く開けると
ヒュルヒュルと風の音が鳴るから
僕はわざと窓を細く開けて
それを聴いている。
夏の風音は冬のそれと違って
死を感じなくてすむから
ずっと聴いていても平気。
やがて音は消えて、
風も、そして自分も
どこかに消えてしまうのだろうと
思いながら。

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