夏の幕はまだ上がっていないのだから、
その暑さというのは、言ってみれば
前座のようなものだろう。
のんびりと煎餅をかじりながら見ていてもいいような。
しかし、そんな吞気なことを言っていられないほど
暑さが沁みてきて、クーラーのスゥイッチを入れ
熱を交換してみたりする。
あこがれのような冷気が、四角い穴から
流れ出てきて、部屋を満たす頃に
ベッドの上でのびてしまうのだけれど。
この頃、万年筆を会社に持っていって
ノートを書いている。
もともと筆圧が弱いので、
シャーペンでは濃い文字が書けない。
学生の頃はBの芯を使っていた。
最近、さらに筆圧が弱くなったのか、
視力が怪しくなったのかわからないが、
自分が書いたものも、もっと濃い字で見たくなった。
しばらく、ボールペンを使っていたが、
ペンの先にボールが付いている、ということが
大変不自由な気がするし、必ず最後まで使えず
何本も買うことになるのが厭だった。
万年筆なら、出にくくなったら洗えばいいし
インクが無くなったら補充すればいいので、
そういったストレスからは解放される。
普段の道具を改善するというのは、
大切なことだなと思った。