立体的な考察

夏がどのようにしてやってくるのか
少し分かったような日だった。
空が抜けていないのは、きっと水蒸気が漂っているせい。
空はすこし青みがかったシーツのような色だった。
僕はなんだか草臥れた、帰り道
モノレールの駅の向こう側に
少し入道雲っぽく盛り上がる白い雲を見かけた。
幸い、夕立になるほど発達することは
なかったけれど、真夏の衝動は
すぐ近くまできているのだなと思った。

最近、トラベラーズノートという名前の手帳を買って
これがとても気に入っている。
どんなところが気に入っているのかというと、
手触りの良い皮のカバー、長財布くらいのサイズ、
薄いリフィル、システム手帳みたいにばらばらにならず
見開きで真ん中が綴じてある、固い金属のバインダーではなくて、
ゴムの紐にリフィルを引っかけるタイプ、カスタマイズが楽しい、
手帳が開かないように細いゴムのベルトがかかっている
このベルトをビーズやエンブレムでカスタマイズする
ためのキットがある、などなど。
シンプルで薄いので、ノートに関しては飽きっぽい僕も
長く使えそうな気がする。

しかし、自分は手帳の使い方が下手だなと思う。
いつも、だらだらと時系列に記録のように書いてしまって
再読することが少ない。下手をすると、メモしたことさえ
忘れてしまっている。誰が読むとも知れない日記のような
ものになってしまうのは、不本意なのだ。
出力としてではなくて、入力を増やすための、道具として
使いたい。そっと言葉を置いて、それから少し距離を置いて
眺めることによって、地図のように、何か意味があるものが
見えてくるといいと思う。そのためには、年月日曜日時間から
離れることができる、ただの白いノートが必要だったのだ。

カテゴリー: 諸行無常 パーマリンク