落下するつばきの夕刻

赤い椿の花が引力によって
ぼとりと地表に落下して、こちらを見ている。
椿が落ちたあたりは花壇になっていて
沢山のチューリップが植えられている。
赤い花は風に揺れている。
その赤さは、まるで根本に落ちた
椿の赤い色を吸っているかのように
椿の赤色にそっくりで、何だか気味が悪くなる。
花壇も、花壇の上に張り出すように
植わっている椿も、赤い信号のたもとまで
ずっと続いていて、それは毎日通う道。
ふつうだと思っていることのすぐそばで
ふつうではないことが蠢いている。
それはエネルギーなのか、闇への入り口なのか
わからないけれど。

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