神様、いまどこですか

先週の金曜日、
とてつもなく大きな地震があった。
海からひどい津波が北の街に押し寄せ、
家も人も車もみんな飲み込まれて、
沢山の人が命を失ったり傷ついたりした。
それから原子力発電所が冷却不能になって、
目には見えないけれど、漏れてはいけないものが、
漏れ始めて、生きている人はみんな逃げて、
逃げたけれど、火も食べるものもない所が多くて
それで、とても疲れてしまって、寒くて
それからどうしようもなく悲しくて
途方に暮れている。
そういう状態について、テレビは音楽もかけないで
朝から晩までずっと、放送している。
祈る隙を与えないほど、解説者は詳細を語り、
現地に入ったレポーターは被災者に
何が必要ですか何が必要ですかと早口で訊く。
テレビの中の人たちは一生懸命だろう。
誰も間違ってはいないのだろう。
しかし僕は、テレビを消して、新聞を読み、
時々ラジオを小さな音で聞いて、それから祈る。
どうかどうか、無事でありますように。
そして、あの浜辺の波の音を思い出している。

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