図書カードは「津山三十人殺し」という本に換えた。
五百九十円だったから、五百円から少しはみ出したけれど。
津山は実家の近くなので、少し興味があった。
昭和十三年の事実、ずいぶん昔の話。
理解なんてできない。
頑張ったからといって、すべての事が
理解できるわけではないでしょう。
デリカシーというボキャブラリーの中に
まだないことは、どうやっても形にできないのだから。
理解できないことへの恐怖というのはいつもつきまとう。
そこから逃げようとすることは、個々の本能として
備わっていることだから仕方がないけれど。
しかし、経験したことがないことに、
少しずつ足を踏み出さなければ、ボキャブラリーは
育たず、狭い範囲で世の中を解釈することになる。
自己にとって、より幸せなことが、たったいま持っている
ボキャブラリーの中にあるわけないだろ。
なぜなら、こうしてまだ生き続けて歳を取るから。
そんな気がします。