冷たさのゆくえ

寒い日が続く。
まるで雪を蓄えているかのような黒い色の雲が
上空にあったけれど、風に吹かれて空に散った。
電車の窓から、どこかの公園の片隅に
白い梅の花が咲いているのが見えた。
一月は終わろうとしている。
いつもの年だと、一月はやたらと早く過ぎるのに
今年はなんだかとてもゆっくり過ぎてゆくように感じる。
それがどうしてだか、分からないけれど。
きっとそれは、いいことだろう。

この頃、体の中身が冷えているような気がする。
浴槽にお湯をためて、体を沈めていると
これまでは感じなかった幸福、のようなものを感じる。
心は体の一部だから、暖かさが不足していると
不幸な気分に蝕まれるのだろうか。
しかし私は、不幸でもまた幸福でもなくて、
普通でも極めて異端でもないのだった。
そういう中途半端な、険しくもなだらかでもなく
どこまでも続くただの長い下り坂が目の前に広がって
いるだけなのだった。
そのことを意識しながら、日々歩いていること自体が、
不透明な未来を不透明なままにする原因であることを
知ってはいるのだけれど。

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