よい天気が続く。
それは太陽との間に遮るものがないということだ。
光が届くことはよいことだ、闇よりも。
トイレに入ろうとして、スイッチを入れたら
小さくパチン、と音がして光が無くなった。
電球が切れたのだ。
そうか、トイレはまだ普通の電球だったのか
と僕は仕方なく暗がりで用を足しながら思った。
ガラスの球に閉じ込められた輝きには限りがある。
街の量販店に行って、電球の棚を見ると、売り場の半分が
LED電球になっていた。
低消費電力、長寿命、しかし値段は蛍光灯型電球の四倍ほど。
光の強さはワット、ではなくて、ルーメンという単位で表示されている。
ルーメンて何だろ、と思って調べてみると
「全ての方向に対して1カンデラの光度を持つ標準の点光源が1ステラジアンの立体角内に放出する光束」
…
さっぱりわからない。
えぇと、それじゃ「光束」ってのは
「光束(こうそく、luminous flux)とは、光源からある方向に放射されたすべての光の明るさを表す
心理的な物理量である。単位は、国際単位系ではルーメン(lm)またはカンデラステラジアン (cd·sr)
である。ランプの仕様は光源から放射される全ての方向の明るさを全光束として表すことが多い。」
…
心理的な物理量!?
心理ってのは物理的な量で表すことが可能なのか。
やっぱり、何の事やらさっぱり分からなかったが、とりあえず、数字が大きい方が
明るいということらしい。
60Wの電球相当の明るさが、810ルーメンらしかったが、
810ルーメンの電球はとても高価だったので、ひとつ下の650ルーメン
というやつを買ってみた。電球色のやつ。それでも4500円もした。
消費電力は9.2W。
あれ、蛍光灯型の電球でも60W相当の明るさで12Wくらいだから、そんなに
低消費電力でもない。なんだか、エコという言葉にだまされてるような気がした。
家に帰って、付けてみるとやたらと明るかった。
そうか、LED電球は真下に照射するから、ダウンライトなんかの場合
全光束で比べると、多方向に光の広がる電球よりも、光が強くなるのか。
失敗した。もう少し、暗めの485ルーメンのもので十分だったのだ。
うちのトイレは、燦然と光り輝いている。