よみがえらない勤労

雨は午前中の早い時間で止んで、午後から暖かい陽が射した。
僕は太陽を逃したくなくて、洗濯をして干した。
空からはジェット機の音がずっと聞こえていた。
東京という街は、いつだって、空を鉄の塊が飛んでいる。
窓を開けると、ジェット機だったり、ヘリコプターだったり、
いつも空に何か飛んでいる音がする。
すっかりそれが普通のこととなっていて、人々はもう
何が飛んでいるのか確かめるために、空を見上げることもない。
人は順応する。そういうふうにできている。

冷蔵庫に入れていた柿は、随分柔らかくなってしまっていた。
僕は、買ったものを食べるという、基本的なこともうまくない。
しかし、まだ食べられないということはなかった。
僕は注意深くオレンジ色の皮を剥いて、それから食べた。
柔らかい柿はあまり好きではないが、ちょっと変わったメロンだと思えば
おいしく食べられる。

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