闇色珈琲店

日差しはあったけれど、風は冷たかった。
太陽に当たっているところだけが暖かかった。
どれだけ、太陽に依存しているのかが分かる。
たくさん洗濯をして、太陽にかかげた。
それから、太陽に掌をかざしてみる。
太陽のように赤い血液が、体をくまなく巡っているのを感じた。

五時になると日が暮れた。
地球が自転をやめないかぎり日は暮れる。
闇の色で塗りつぶされる。
時間というものに、重さはあるのだろうか。
闇色の珈琲を飲むと、時間が速くなるのだそうだ。
それはモノサシの問題らしい。
速度があるのならば、重量もあるのかもしれない。
夏ならばまだ、夕方の早い時間なのに、深夜の匂いがする。
僕はマンデリンを煎れて、ゆっくりと飲む。
これ以上、時間が速くなったら
とても困るのだけれど。

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