実家から父親の名義で荷物が送られてきた。
それは故郷直送便的な、地元の郵便局が企画している小包だった。
中を開けると、いくつかの地元の食材と、さば寿司が入っていた。
うちの田舎では、最高気温が二十度に届かないくらいの季節になると
さば寿司をよく作る。
母と、祖母が生きていた頃には実家でもよく作ったものだ。
夜の台所に、すめしの匂いが広がっていた。
今は誰も作らない。義姉はパンを焼いている。
母が死んでから、
秋になると父親の名義でこの小包が送られてくるようになった。
僕はさば寿司を切り分けて食べた。
秋の味がした。